前回に引続いて型枠工事の組立てについてお話しいたします。

いよいよ現場の中で型枠を組立てる作業になるわけですが、型枠を組立てるにあたっては前回もお話したようにこの作業によって建物(構造物)の精度・品質が決まってしまうわけですから非常に重要な作業になるわけです。

この作業には型枠を組立てる型枠大工さんが携わります。
非常に難しい作業と共に重労働ですので数人でチームを組んで作業にあたります。
このチームを率いるリーダーが現場では作業長(職長又は親方と呼ばれているところもある)といわれる人です。
 

先ほども話しましたようにこの作業長さんが種々の経験を積んだベテランか又は経験の少ない作業長(経験が少なくても立派なリーダーもいます!)かによって、精度や品質・工期等にも大きく違いが出てきます。

現場の型枠組み立てで一番難しいといわれているのは、階段部分と曲面が多用されている部分と言われていますが、これらの部分の組立を出来る作業員がどれだけいるかでそのチームの技量が測り知れます。
 

作業長さんのやる仕事は数多くあります。

  1. 現場担当監督との打合せ(工程・工区割り・材料の搬入搬出及び小運搬・材料仮置場・下拵場所等)
  2. 作業員の選択(作業員の配員)
  3. 作業にあたっての検討(材料の強度検討・施工図の確認・パネル割図の作成・組立要領書の作成等)
  4. 作業員の管理(健康管理・安全管理・通勤管理・作業環境管理等)
  5. 現場状況の事前点検及び確認(組立中の作業状況の確認・組立後精度の確認・打設後精度の確認等)

 

作業長さんの仕事の他に、現場監督さんの仕事も数多くあります。

  1. 型枠施工会社の選定と作業員の技量調査(施工実績のヒアリング)
  2. 設計図(意匠図・構造図・設備図等)の整合性検討
  3. 施工計画書(施工手順書)のチェック(工程管理・安全管理・強度確認・型枠転用計画等)
  4. 躯体施工図の作成及びチェック
  5. 型枠施工会社と関連業種との調整(工程・施工順序・資機材搬出入順序等)
  6. 設計事務所・関係官公庁との連絡調整

 

以上のように、それぞれの立場での仕事は非常にたくさんあります。

そこで、型枠工事というものはこのように建物・構造物の品質・精度を決定づける工種ですので、現場の監督さんは型枠施工会社を決めるにあたって一番気を使っています。
この型枠の精度によって次に乗りこんでくる工種の品質も決まってくるようなものです。下地が凸凹であったり、曲がっていたり、倒れていたりしていたのではいくら仕上げで直そうと思っていても限度があります。
 

本来は、コンクリート打設後の仕上がりが直ちに最終仕上げになる感覚で臨む事が建物・構造物を造る上でのポイントになるのではないでしょうか。